院長Blog-016 見えにくさ・視力低下その2について
みらい眼科皮フ科クリニック院長 石川裕人です。
今日は見えにくさ・視力低下についてのお話その2です。見えにくいと言っても、色んな「見えにくい・視力低下」があります。その色んな見えにくさを前回に引き続きご紹介します。
★複視:ものがダブって見える・二重に見える
片目だけなのか、両目で見た時なのかが重要なポイントです。
くわしくは三村治先生のブログもご覧ください
単眼複視:片方の目を隠して、片方だけで見ても、ものが二重に見える
1.屈折異常(近視・遠視・乱視)
特に近視や乱視により、ものの輪郭がぼやけて二重に見えることがあります。
基本的には眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが可能ですが、円錐角膜などの極端な角膜乱視や白内障による不正乱視などは眼鏡やコンタクトレンズでの矯正が難しい場合もあります。
2.白内障
主に高齢者の方の視力低下の主な原因です。白内障でもすすみぐあいに両眼で差があれば(たとえば右目の白内障が左目に比べて悪いときなど)、単眼複視の原因になり得ます。
両眼複視:片方の目でみてもなんともないが、両目でみると二重に見える
1.マヒ性斜視
眼を動かしている筋肉(外眼筋)には、簡単に言うと目を水平に動かす内・外直筋、上下に動かす上・下直筋、眼を回転させる上・下斜筋の6本の筋肉があります。これらの筋肉は脳みそでコントロールされていますが、脳神経そのものに異常が出て目の動きが悪くなることがあります。
2.機械的斜視
甲状腺眼症や高度近視といった、目を動かす筋肉そのものになんらかの異常があり、物理的に目が動けなくなった状態を機械的斜視といいます。これらの疾患においても、MRI等、画像診断は重要です。
★変視:歪視(ものが歪んで見える)・大小視(ものの大きさが反対眼に比べると大きく見えたり小さく見えたりする)
いわゆる変視は、カメラのフィルムにあたる網膜、特にそのど真ん中の黄斑という場所に異常があると起こりやすいと言えます。この黄斑になんらかのダメージが出る病気について示します。
網膜.comより転載
1.加齢黄斑変性症
年をとるとともに、黄斑の働きに異常が起こり視力が低下する病気です。日本では脈絡膜(網膜の一層下の、網膜を栄養する血管豊富な膜)から、良くない血管(脈絡膜新生血管)が網膜に入り込んできて発症します。現在、日本では中途失明の第4位です。加齢黄斑変性症の軽度の状態であれば、黄斑に水がたまり、歪視が発生します。さらに進行し出血など起こすと、中心暗転や急激な視力低下の原因になります。
2.黄斑上膜
黄斑上膜は網膜の病気の中で最も多いと言われており、40歳以上の約5%(20人に1人)の方が発症すると言われています。目の中のゼリー(硝子体)が一部残って、膜状に網膜に張り付いてしまう病気です。この黄斑上膜が網膜に張り付き、網膜をひっぱりだすと、歪み、歪視が出てきます。黄斑上膜は早期発見・早期治療が大事な病気です。黄斑上膜になってから長い時間が経ってしまうと、黄斑上膜を剥がしたところで、網膜のしわは元に戻らず、歪みも戻らないこともあるからです。
3.黄斑円孔
黄斑円孔は黄斑の真ん中の中心窩に穴が開いてしまう病気です。穴は直径0.5mm に満たないものですが、中心窩は視力に最も関わる部分であるため、極度にすぼまって見えるなどの特徴的な症状が出てきます。視力低下も黄斑前膜よりひどくなり、視力0.1 未満になることもあります。黄斑円孔は裂孔原性網膜剥離と並んで、発症早期に手術治療をすることが、術後の視力をよく出すのに重要です。
4.糖尿病黄斑症
糖尿病の目の合併症として主なものに、糖尿病網膜症と黄斑症があります。網膜症は単純、増殖前、増殖期と3段階ありますが、黄斑症はどの病期でも起こり得ます。簡単にいえば、黄斑に水ぶくれを起こす状態で、歪みを来たします。
5.中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)
こちらは中年男性に起こりやすいと言われています。主にストレスが多いとこの病気になりやすいと言われていますが、黄斑に水がたまり歪みを来たします。
6.網膜静脈閉塞症
比較的高齢の方に起こりやすい病態で、網膜の血管が詰まることにより発症します。詰まった結果、黄斑に水が溜まってくることがあり、歪みを来たします。
7.ぶどう膜炎 特に原田病
原田病は特に目の奥の脈絡膜に炎症を来たしますが、非常に特徴的な多発性滲出性網膜剥離になることが多いです。この場合、急激な視力低下と歪視を来たします。
本日は複視と歪視をきたす疾患についてまとめてみました。
すこしでもおかしいな?という時は最寄りの眼科にご相談ください。
病気は、眼科にかかわらず、早期発見早期治療がいい結果につながります。
院長 石川裕人
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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