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論文紹介-001 眼内レンズ強膜内固定

2021年6月19日

手術治療白内障眼内レンズ強膜内固定術硝子体論文紹介論文紹介

みらい眼科皮フ科クリニック院長 石川裕人です.

論文紹介のページでは、日々発表されている眼科に関する英文論文の中で、石川が特に興味を持った論文を皆さまにかみ砕いてお知らせする企画です。

 

今回は「眼内レンズ強膜内固定」についてのお話です。

眼内レンズ強膜内固定とは、白内障の手術の一種で、通常の手術ができないような症例で行う手術手技です。

白内障の手術は、水晶体嚢という水晶体の袋の中に、中身のにごりを取り除いてから眼内レンズを挿入します。

しかし、1)この袋が派手に破れたり(後嚢破損)、2)袋を支えている繊維(チン小体)が切れていて、袋そのものがグラグラな場合(水晶体脱臼・亜脱臼)、3)過去に白内障の手術を受けたが、眼内レンズが袋ごと眼底におちてしまったり(眼内レンズ脱臼・亜脱臼)といった場合には通常の白内障手術はできず、眼内レンズ逢着術や眼内レンズ強膜内固定術の出番になります。

 

眼内レンズ逢着術というのは眼内レンズに糸をかけて、白目(強膜)に縫い付ける方法で、20年以上前から通常の白内障手術ができない場合の唯一の選択肢でした。

ただ、手術手技が煩雑で、時間がかかるといった欠点もありました。そんな中、約10年ほど前から、眼内レンズ強膜内固定という新しい手技が生まれました。

静岡の太田先生が考案された眼内レンズを強膜内フラップに固定する方法が皮切となり、2014年には横浜の山根先生によるdouble needle techniqueが生まれました。この山根法の誕生により、眼内レンズ強膜内固定術は一挙に世界中に広まった術式となりました。私も留学から帰ってきた2013年よりまず太田法を会得し、その後山根法に移行いたしました。

 

Sutureless 27-Gauge Needle–Guided Intrascleral Intraocular Lens Implantation with Lamellar Scleral Dissection.Yamane S, et al. Ophthalmology, 121 (1), P61-66, 2014.

原著論文

動画

 

兵庫医大において、毎年約60-70件の強膜内固定を行ってきましたが、その原因となる疾患に圧倒的に多いのが偽落屑症候群(緑内障の一種で、瞳孔や水晶体表面に白い沈着物(偽落屑)が付着し、チン小体などが変性し弱くなる)であるということが分かりました。ということは、強膜内固定をする症例では、将来的に緑内障が悪くなれば、緑内障のろ過手術(繊維柱帯切除術)が必要になる可能性もあります。緑内障のろ過手術は、強膜に穴をあけて、結膜の下に新たに房水をためるプールを作成する手術手技ですが、その手術をスムーズに行える大前提は、結膜や強膜がなるべく正常である必要性があります。元来の山根法では、手術の時に作成する傷口が6か所(硝子体手術の傷3か所+眼内レンズ挿入1か所+眼内レンズ固定2か所)で、結膜や強膜に対する侵襲が多少あるため、我々はこの侵襲を少しでも減らすべく、山根法を改変した方法を編み出しました。この方法では、手術の時に作成する傷口が4か所(硝子体手術の傷3か所(うち2か所は眼内レンズ固定に併用する+眼内レンズ挿入1か所)となり、より結膜・強膜に対する侵襲を減らすことに成功しました。

 

Flanged intraocular lens fixation via 27-gauge trocars using a double-needle technique decreases surgical wounds without losing its therapeutic effect. Ishikawa H, et al. Acta Ophthalmol, 98(4), 2020.

原著論文

 

みらい眼科皮フ科クリニックにおいても、すでにこの手術は2例行っており、平均手術時間は35分(25-60分)ほどです。当然日帰り手術が可能です。水晶体がグラグラで普通の手術ができないと断られた方、眼内レンズが落ちていて困っている方、ぜひ当院にご相談ください。evidenceと経験に基づいた治療をさせていただきます。

 

当記事は院長石川の個人的見解であり、絶対に紹介した記事や論文等が正しいというわけではございません。

 

院長 石川裕人

 

大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科

みらい眼科皮フ科クリニック

 

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