注射について
About an injection
注射について
About an injection
About an injection
いずれの病態も目の中のVEGF濃度が高いことによっておこります。よって、VEGF抗体を注射することにより改善されます。
注射は点眼麻酔・消毒をしたのち、一瞬で終わります。注射当日から3日間のみ、抗生物質の点眼をしてください。
注射後1週間くらいは注射した部分が赤くなったり、異物感(コロコロする)が残ったりする場合があります。注射液と共に空気が目の中に入り、黒い球が見えることがありますが、自然に吸収されます。前眼部の炎症、眼圧の上昇がみられることもありますが、多くは自然に治まります。ただし、点眼薬などの処方が必要なこともあります。
抗VEGF抗体の重篤な全身副作用として、脳梗塞の再発リスクをあげると報告されていますが、脳梗塞の既往の無い方には有意な影響は認められていません。また、全身投与の場合は倦怠感、腹痛、血圧上昇、蛋白尿、出血、下痢、心不全、脳梗塞、胃腸の穿孔などが報告されていますが、眼内注入では、その他の全身への影響はほとんどないと考えられ、可能性は小さいと考えられます。万一合併症が発生した場合は、速やかに対応します。
硝子体内注射には感染(1/3000)や、水晶体に注入針が接触しておこる白内障(1/600)、また硝子体出血や網膜剥離(1/600)などの合併症の可能性がありますが、院長はこれまでに数千例の硝子体内注射をおこないましたが、合併症の経験はありません。
ただ、物事には“絶対”ということはなく、これらは、通常通り手技を行っても、ある一定の確率で起こりうるものです。もし合併症が出た場合は、いずれに対しても投薬・手術などによって速やかに対応させていただきます。しかし一旦生じてしまうと重篤な視力障害が残る場合もあります。
まぶたの開け閉めを行う目の周りの眼輪筋という筋肉が勝手に痙攣する病気です。疲れなどにより、まぶたや目の周りがピクピクすることはよくありますが、これがいつまでも治らなかったり、痙攣する範囲が広がってきたりした場合、治療を受けることをおすすめします。目が乾くなどの症状が見られることもあります。軽症、中等症であっても、自覚症状が気になって集中できないといった不快感が生じることも多いです。進行すると、まぶたを開けるのが困難になり、歩行中に人とぶつかることも。50歳代以上の方が多いのですが、まれに20~30歳で生じる場合もあります。
顔面神経が動脈硬化などで圧迫されて、まぶたや顔半分がぴくぴくとけいれんをおこします。MRIで顔面神経が血管で圧迫されていることがはっきりすれば、脳神経外科で手術するのが根治療法ですが、2週間以上の入院とある程度のリスクを伴います。また原則70歳までしか手術をしていただけません。
ボツリヌス菌は食中毒を起こす細菌ではありますが、この毒素だけを取りだし、お薬としてごく微量を眼瞼の筋肉に注射すると筋肉が緩み、眼瞼・顔面痙攣の症状を抑えることができることがわかってきました。ただ、この注射は1回で通常3~4ケ月の効果しかない場合が多く、数ヶ月ごとに再注射を必要とする場合が多いです。
上眼瞼に注射するとまぶたが下がってきたり、下眼瞼に注射すると下眼瞼が弛緩し、目をつむった時に薄目が開いたり、顔を洗うときに石鹸が目に沁みたりすることがあります。これらはすべてお薬が効きすぎているせいですので心配はありません。時間がたてば必ず良くなります。
ボツリヌス毒素は眼瞼痙攣・顔面痙攣の病名で保険適応になっていますが、1本が3万8千円余りと非常に高価なため、3割負担の本人および家族では1万5千円弱、高齢者医療の1割負担でも約5千円(所得により3割の約1万5千円になることも)の自己負担が必要です。
日本では1997年4月に認可されましたが、アメリカやヨーロッパではすでに20年以上の歴史のあるお薬です。兵庫医科大学病院眼科ではすでに2017年末現在で、2,611名の患者さんに注射を行い約9割の患者さんから満足しているとの回答を得ています。
分かりにくいことや不審な点がありましたら,ご遠慮なくお尋ねください。
みらい眼科皮フ科クリニック 院長 石川裕人
兵庫医科大学眼科学名誉教授 三村治