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「学会印象記 第60回日本網膜硝子体学会について」大阪市今福鶴見にある眼科・皮フ科 みらい眼科皮フ科クリニック

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「学会印象記 第60回日本網膜硝子体学会について」大阪市今福鶴見にある眼科・皮フ科 みらい眼科皮フ科クリニック

院長Blog-019 学会印象記 第60回日本網膜硝子体学会

みらい眼科皮フ科クリニック院長 石川裕人です。

 

12/312/5は第60回日本網膜硝子体学会が東京国際フォーラムで開催されています。私も12/3はみらいクリニックの外来を休診にして、発表してまいりました。

https://convention.jtbcom.co.jp/60moumaku/

DPS2-4

Cystoid macular edema after intraocular lens intrascleral fixation: Observational cohort study in the J-CREST group

久しぶりの学会発表、現地での発表で、しかも英語での講演で、まるで1年目の研修医の先生のように緊張しました!

やっぱり、アカデミアから離れてるとダメですねぇ・・・読み原稿から全然目が離せませんでした・・・

 

今回は日本臨床網膜研究会(J-CREST)という色々な施設から提出いただいた症例データをまとめて、報告させていただきました。具体的には眼内レンズ強膜内固定手術後の患者さんの、のう胞様黄斑浮腫の発生頻度に関して後向きに検討しました。

眼内レンズ強膜内固定は、通常の白内障手術ができない、水晶体脱臼の方や、昔白内障の手術をして、眼内レンズが入っているのに、その眼内レンズが落ちてしまった、ずれてしまった(眼内レンズ脱臼)の方に対して行う手術です。

 

論文紹介のブログでも一度説明しましたが、この眼内レンズ強膜内固定はYamane法が世界的にもスタンダードになっており、私もYamane法を独自にアレンジした方法で行っています。元来の縫合糸・いとを使って眼内レンズを目に直接縫い付ける、眼内レンズ逢着に比べれば格段に手術精度・簡便性はあがっており、患者さんの負担も軽くなっています。

 

この眼内レンズ強膜内固定のいいところが目立つ半面、その他の影響、例えば合併症等についての検証はあまりなされてきませんでした。そこで、多施設のbig dataを元に検証し今回発表したわけです。

 

発表要旨

J-CREST参加施設のうち、7施設(兵庫医大、鹿児島大、聖マリアンナ医大、福井大、三重大、久留米大、徳島大)において、眼内レンズ強膜内固定または縫着術を受けた患者さん165症例172眼を対象に、後向きに術後3か月におけるのう胞様黄斑浮腫の発生確率、またそのリスク因子を検討しました。

結果は8.7%の患者さんでのう胞様黄斑浮腫が発生しました。そのリスク因子として、手術時間が長かった、手術前の角膜内皮細胞数が少なかった、手術後に一過性の低眼圧が認められた、という3因子があげられました。

手術時間が長かった:手術が難しかった、眼内レンズや水晶体が完全に落下していて処理が難しかった、術者の練度が低かったなどが原因として考えられます。

手術前の角膜内皮細胞数の減少:普通の白内障手術でもまずこの角膜内皮細胞数というのを測定していますが、簡単に言うと角膜が手術に耐えられるかどうかの指標です。これが減っているということは、おそらく初回の白内障手術がかなり難しくて、角膜に多少のダメージを与えてしまったケースが考えられます。

手術後の一過性低眼圧:術後に目の玉の硬さが一時的に柔らかくなってしまうことで、手術後にわずかに傷から目のお水が少し漏れていたり、目の中のお水を作る毛様体の機能がすこし落ちていたりということが考えられます。

眼内レンズ強膜内固定は簡単になったとは言え(私でも早い時は25分、遅くて1時間15分くらい、平均35分ほど)、通常の白内障の手術よりは難しいですし時間がかかります。通常の白内障手術後の、のう胞様黄斑浮腫発生率は1%前後ですので、この8.7%という数字は白内障よりも術後のう胞様黄斑浮腫の発生頻度が高いということになります。

ただ、こののう胞様黄斑浮腫は目薬によってある程度治すことが可能です。

もしこの眼内レンズ強膜内固定術を受けることになりましたら、しっかりと主治医の先生からその善し悪しをしっかりと聞いて納得された上で手術に臨んでください。

 

久しぶりの学会現地に行ってきてリフレッシュできました。やっぱり学会は現地が一番です! うまい酒とうまい飯、学会のもう一つの醍醐味です。

 

本日は網膜硝子体学会の印象記でした。

目に関して、すこしでもおかしいな?という時は最寄りの眼科にご相談ください。

病気は、眼科にかかわらず、早期発見早期治療がいい結果につながります。

 

院長 石川裕人

 

大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科

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当記事は院長石川の個人的見解であり、絶対に紹介した記事や論文等が正しいというわけではございません。

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