三村治のやさしい神経眼科講座 その1 眼瞼けいれん
- 2021年3月10日
- 三村治先生の神経眼科講座,神経眼科,症状
三村治です。みらい眼科皮フ科クリニックのボツリヌス治療、神経眼科外来を担当しています。院長のたっての希望により、当クリニックの神経眼科ブログを始めることになりました。月に1度程度の更新を予定しております。今後よろしくお願いします。
初回は「眼瞼けいれん」についてお話します.60歳以上の女性ではかかっている患者さんの数がかなり多いにもかかわらず,病気に対する理解が我々眼科医側にも患者さん側にも十分でないために,ドライアイと非常に間違われ易い「眼瞼けいれん」についてお話します.
「眼瞼けいれん」というとマブタがピクピクする病気と思われるかもしれませんが,むしろ「まばたき」を制御する神経の異常のために「まばたき」が非常に下手になる病気です.患者さんの多くは「眩しい」,「眼がショボショボする」,「眼をつぶった方が楽」,時には「我慢できない眼の痛み」といった訴えで眼科医を受診されますが,目自体には全く異常はありません.しかし,瞬きをできるだけ速くさせたり(速瞬テスト),メトロノームに合わせて規則正しくさせる(軽瞬テスト)と,素早い瞬きができなかったり,異常な瞬きが混入したりすることで診断できます.この眼瞼けいれんは,患者さんの訴えもドライアイと非常によく似ていて,実際にドライアイと間違えて治療されてしまうことも多い疾患です.ドライアイ治療をしていても,その効果がみられない場合はまず眼瞼けいれんを疑います.
治療では内服薬で有効性が認められているものは無く,保険上適応が認められているのはA型ボツリヌス毒素(ボトックス®)のまぶた周囲への注射のみです.この注射は80-90%の患者さんに有効ですが,注射の効果は2-3日で現れ,2週間ぐらいで最大となり,3-4か月持続した後に徐々に消えていきます.したがって,1年に3-4回反復注射を行うのが一般的です.みらい眼科皮フ科クリニックでは私がボツリヌス毒素注射の認定医師として施注を担当しています.また,ボツリヌス毒素注射で効果が乏しいものでは,遮光レンズ眼鏡(サングラスではありません,可視光線の青色光線を選択的にカットします)やクラッチ眼鏡(まぶたを押さえて眼を開けやすくします),場合によっては上眼瞼の手術を行います.これらの治療法についても外来で説明を行っています.
この病気の詳細については私が委員長を務めた日本眼科学会のホームページに「眼瞼けいれん診療ガイドライン」として公開されています.ご参照ください.
ボツリヌス治療・神経眼科外来担当 三村治
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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