三村治のやさしい神経眼科講座 その17 鼻性視神経症について
- 2024年5月25日
- 視神経炎,三村治先生の神経眼科講座,神経眼科,症状
ボツリヌス治療、神経眼科外来担当の三村治です。
そう言えば何年も前に蓄膿の手術を受けたことがある
-鼻性視神経症について-
目が見えにくくなるというのは,白内障,緑内障や加齢性黄斑変性など目の中だけが原因ではありません.目の後ろから脳に情報を送る視神経の変化(病気)が原因のこともあります.視神経の病気でも様々なものがあり,見えにくくなるスピードが速いものから,非常にゆっくりとしたものまであります.特に気付きにくいのはゆっくりと進行するタイプの病気です.さて,視力の低下が非常にゆっくりと進むことで見つかる病気の中に鼻性視神経症があります.昔は鼻や副鼻腔からの炎症の波及とみなされ鼻性視神経炎といった名前がついていましたが,CTやMRIなど視神経の周りを画像で見ることができるようになり,原因が術後性副鼻腔嚢腫による圧迫が主であることが判って病名も変わりました.術後性嚢腫というのは,慢性副鼻腔炎(蓄膿)に対して副鼻腔開放手術を行った後にできるものです.また,非常にゆっくりといってもほどがあると言えるほどで,十数年とか何十年も前に手術された方での発病をしばしば経験します.このタイプの目の霞みの特徴としては,初期には日中の時間帯や患者さんの体位によって変動しがちで,徐々に悪化していくことです.したがって,目の霞みがゆっくりと進行している患者さんでは,必ず放射線科でのCTやMRI,特に視神経の周りのMRIを撮影する必要があります.
さて,鼻性視神経症の治療としては,視神経周囲で拡大し,視神経を圧迫する副鼻腔嚢腫の開放術になります.通常,耳鼻咽喉科または脳神経外科で手術していただき,患者さんは麻酔から醒めるとすぐに視力の回復を自覚されます.手遅れにならないうちに手術をすれば,非常に急速な視力回復が得られるので,早期受診・早期診断が重要です.石川みらい眼科皮膚科クリニックでは,視神経周囲のMRIなど放射線科に対する撮影指示のノウハウも適切にできますので,もしご本人・ご家族のどなたでも視力の低下が非常にゆっくりと進んでいると自覚されれば,是非当科を受診くだされば幸いです.
ボツリヌス治療・神経眼科外来担当 三村治
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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