三村治のやさしい神経眼科講座 その6 眼瞼下垂について
- 2021年8月7日
- 三村治先生の神経眼科講座,神経眼科,症状,斜視
ボツリヌス治療、神経眼科外来担当の三村治です。
今回は「眼瞼下垂」についてお話します.
眼瞼下垂というのは上マブタが通常より下がっている状態をいいます.先天性,加齢性,腱膜性(ハードコンタクトレンズ下垂など),筋無力性,神経麻痺性など様々な原因があります.症状としては,瞳(黒目)に上マブタがかかれば視界を遮ったり,視野が狭くなったりしますし,乳幼児では弱視や乱視の原因になったりもします.
治療としては軽度のものではアイプチ®などの粘着テープや糊の貼付で改善することがありますが,重度のものでは手術で対応します.ただ,最近問題になっているのは高齢者でみられる眼瞼下垂に,重症筋無力症によるものが急増していることです.実際私の外来にも,他の美容整形や眼科で眼瞼下垂の手術をしたが治らないと言って受診される患者さんが多く受診されています.この重症筋無力症の特徴は朝や午前中は症状が目立たちませんが,夕方や疲労時に目立ってくるというものです.この病気は基本的には内服薬で治療するもので,手術は無効です.
もうひとつ注目されるのは若い頃に近視でハードコンタクトレンズを長期間(最も短い論文では3年というのがありますが,通常は5年以上)装用された方が中高年になってから眼瞼下垂を発症されるケースです.これはハードコンタクトレンズのエッジがマブタの裏側の腱膜と接触・摩耗して起こるとされています.この眼瞼下垂は非常に手術が良く効くので,是非一度手術を考えてみてください.
さて,その他の眼瞼下垂でも手術になることが多いですが,眼瞼下垂の程度や原因疾患により様々な手術方法が選択されます.当院では日本でトップクラスの眼形成外科医である三村真士医師(残念ながら私の親戚ではありません)が日帰り手術で行っています.
また,重症筋無力症による眼瞼下垂に関しては,石川裕人院長,それに私が担当しています.気軽にご相談ください.
ボツリヌス治療・神経眼科外来担当 三村治
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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