大黒伸行のぶどう膜炎気まぐれ日記 ~思いつくままに~ 第10回感染症によるぶどう膜炎3
- 2023年12月23日
- 大黒伸行先生のぶどう膜炎気まぐれ日記,ぶどう膜炎,症状
皆さんこんにちは。みらい眼科で毎月第1金曜日の午後に「ぶどう膜炎外来」を担当している大黒です。
第10回:感染症によるぶどう膜炎(3)
結核や梅毒がぶどう膜炎を引き起こすと言ったら驚く人が多いと思います。しかし、ぶどう膜炎の全国疫学調査の結果を見たら、この2つの感染症が上位20位以内に常に入っています。特に梅毒は、最近増加傾向にあります。また、ぶどう膜炎で眼科を受診して初めて梅毒が見つかるというケースも増えてきています。梅毒によるぶどう膜炎には特徴的な所見がなく、逆に言えば、ぶどう膜炎の方を見たら、原因を調べるために必ず梅毒の検査をしないといけません。梅毒の治療は昔も今もペニシリンです。しっかりと治療を受けないと、失明する可能性がある怖い病気です。また、眼だけでなく皮膚や脳にも病気が出現し、最後には脳の機能が障害されてしまいます。
一方、結核も過去の病気と思ってはいけません。特に大阪は依然として結核患者さんの多い地域となっています。厄介なことに、結核が眼だけに出現することがあります。結核といえば「肺結核」をすぐに思い浮かべると思いますが、肺にも全身どこにも結核が見当たらず、眼だけということがあります。このような「眼結核」という病気は、最近まで内科の先生や保健所の方に信じてもらえませんでした。実際、10年ほど前には、私が「眼結核」の届け出をすると(結核は保健所に届けないといけない病気です)、保健所の方が「そんな病気があるのですか」と調べに来たほどです。さすがに最近はそんなことはないですが。一つだけ救いは、「眼結核」は「肺結核」を併発していない限り他人にうつす心配はないことです。また、「眼結核」の治療は「肺結核」とほぼ同じです。半年前後の抗結核剤(4種類)をしっかりと服用しないといけません。
このように、ぶどう膜炎は様々な原因で起こります。ですから、原因検索のためにたくさんの検査をします。どれも必要な検査ですので、面倒がらずに受けてくださいね。次回は、細菌(ばい菌)や真菌(カビ)についてです。
眼科 大黒伸行(おおぐろ のぶゆき)
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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