大黒伸行のぶどう膜炎気まぐれ日記 ~思いつくままに~ 第11回感染症によるぶどう膜炎4
- 2024年3月16日
- 大黒伸行先生のぶどう膜炎気まぐれ日記,ぶどう膜炎,症状
皆さんこんにちは。みらい眼科で毎月第1金曜日の午後に「ぶどう膜炎外来」を担当している大黒です。
第11回:感染症によるぶどう膜炎(4)
細菌(ばい菌)や真菌(カビ)も眼の感染症として重要です。これらの微生物が目に侵入する経路としては、(1)傷口を通して、(2)体内から血液を介して、の2つがあります。(1)の典型は外傷です。特に植物や木の枝で目を突いた場合は要注意です。植物や木の枝にはいろんな細菌・真菌がついてますので、早く眼科を受診しましょう。一方、金属加工などの作業中に目に鉄片が入ることがあります。この場合、網膜障害が重篤になることが多いですが、感染を引き起こすリスクは低いようです。金属加工などでは鉄片が熱せられていることが多く、それで殺菌されているからです。眼の手術後にも感染症を引き起こすことがあります。我が国の白内障手術統計では2000回の手術に1回という頻度で眼に細菌・真菌が侵入することが報告されています。手術後早期に急に見えなくなったら、すぐに手術してくれた眼科を受診しましょう。
(2)の典型は、末期がんの方など免疫が極度に低下している方です。内臓(心臓や肝臓など)で感染症が起こり、それが血流にのって眼内に侵入します。夜寝るときには見えていたのに、朝起きたら目が充血して、痛くて見えないというときには感染が疑われます。すぐに眼科に行きましょう。また、高カロリー栄養輸液や尿道カテーテルをしている方も要注意です。こういう方には細菌よりも真菌が感染することが多いです。真菌は最近に比べて症状の進行がゆっくりです。
また、最近の傾向として、膠原病(リウマチなど)に対して免疫抑制剤を使用している方や抗がん剤治療を続けている方で、まだ元気だよという方でも、サイトメガロウイルスという弱いウイルスに感染する方が増えてきています。こういう方で最近目がかすみだした方も、すぐに眼科を受診しましょう。
今回で感染症のお話はいったん終了です。次回からは「免疫異常」によるぶどう膜炎のお話をします。
眼科 大黒伸行(おおぐろ のぶゆき)
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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