大阪府大阪市城東区今福東1-14-11-6階

誰でも簡単WEB予約
MENU

「大黒伸行のぶどう膜炎気まぐれ日記 第16回」大阪市今福鶴見にある眼科・皮フ科 みらい眼科皮フ科クリニック

ブログ

BLOG

「大黒伸行のぶどう膜炎気まぐれ日記 第16回」大阪市今福鶴見にある眼科・皮フ科 みらい眼科皮フ科クリニック

大黒伸行のぶどう膜炎気まぐれ日記 ~思いつくままに~ 第16回:ベーチェット病 その2

皆さんこんにちは。みらい眼科で毎月第1金曜日の午後に「ぶどう膜炎外来」を担当している大黒です。

 

16回:ベーチェット病 ~緩解増悪を繰り返す難病

 

ベーチェット病によるぶどう膜炎は、他のぶどう膜炎と違って、炎症は短期間で自然に収まるのが特徴です。一般的に、炎症というのは長期間持続することが多いのですが、ベーチェット病では短期間で収まってしまいます。そういうと怖くないと思われるかもしれませんが、問題は収まった炎症がしばらくしてまた起こるということです。こういう病状を「緩解増悪を繰り返す」といいます。しかも、起こる炎症は強烈なことが多く、「発作」という言い方がされます。炎症発作は自然に収まるといってもその程度が強いので、繰り返し炎症発作が起こるとそのたびに眼の組織が破壊されて視力が低下していき、やがて失明に至ってしまいます。本当に難しい病気で、難病に指定されています。

ベーチェット病の治療プランは2段階に分かれます。まず、起こってしまった炎症発作による組織ダメージを少なくする必要があります。その為に、ステロイドの点眼や眼への注射、場合によってはステロイドの短期間内服をします。そして次の炎症発作が起こらないように、予防的治療を行います。予防的治療の第一段階はコルヒチンというお薬の内服です。コルヒチンというのは痛風で使われるお薬ですが、1970年代にベーチェット病の炎症発作予防にも効果があることがわかりました。今でも最初に使うのはコルヒチンです。コルヒチンでも炎症発作が止められない時にはシクロスポリンという薬を使います。この薬は、臓器移植の時に拒絶反応が起こらないようにということで使われていたのですが、1980年代にベーチェット病に効果があることがわかりました。その後長い間コルヒチンとシクロスポリンによる治療が主流でしたが、残念ながらベーチェット病の炎症発作を完全に止めることはできませんでした。そしてたくさんの患者さんが視力を失っていきました。私自身は1999年から大阪大学でぶどう膜炎専門外来を担当しはじめたのですが、救えなかった患者さんを少なからず経験し、今でも忸怩たる思いです。そんなベーチェット病の治療に革命的なことが起こります。それが、原田病のところでお話しした「生物製剤(抗体医薬)」の登場です。次の章では、抗体医薬によってベーチェット病治療がどのように劇的に変化したかをお話しします。

 

 

眼科 大黒伸行(おおぐろ のぶゆき)

 

大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科

みらい眼科皮フ科クリニック

当記事は大黒伸行の個人的見解であり、絶対に紹介した記事や論文等が正しいというわけではございません。

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.