院長Blog-014 見えにくさ・視力低下その1について
みらい眼科皮フ科クリニック院長 石川裕人です。
今日は見えにくさ・視力低下についてのお話です。見えにくいと言っても、色んな「見えにくい・視力低下」があります。その色んな見えにくさを今日はご紹介します。
徐々に・じわじわと見えにくい
1.屈折異常(近視・遠視・乱視):裸眼視力(めがねをしていない状態)の低下
主に若い人~中年ぐらいまでの人で起こりえます。加齢とともに、眼がもっている屈折力は変動します。5年前に作ったメガネがあってない? 久しぶりにお近くの眼科へ行ってみて、メガネがあってるかどうかチェックしてもらいましょう。
2.加齢性白内障:矯正視力(めがねをかけた視力)も低下
主に高齢者の方の視力低下の主な原因です。70歳以上で最近メガネがあってないなぁということで、ご近所の眼鏡屋さんに行ったら、視力でないから眼科行ってください、と言われたような方は白内障やそのほかの眼病がある恐れがあります。
急激に見えなくなった!
1.裂孔原性網膜剥離
主に40歳以上の近視の方に起こりやすく、網膜にあな(裂孔)が出来て、眼の中の水が流れ込んで網膜がはがれてしまう病気です。若い人の網膜剥離と違い、急激に進行する病気で、最初は飛蚊症や一部の視野障害ですが、1日~数日で急激な視力低下をきたします。これは網膜の中でも一番大事な黄斑というところがはがれてしまうことによって起こります。網膜剥離は眼科緊急疾患です。飛蚊症が起こったら、すぐにお近くの眼科を受診しましょう。早期に手術をすれば治すことが可能です。
2.急性緑内障発作
主に50歳以上の遠視の方に起こりやすく、夜間におこることが多いです。症状は激しい眼痛・頭痛・吐き気・充血です。頭痛が激しく嘔吐を繰り返す場合には脳出血と間違えられることも多々あります。一番簡単な判別方法は、まぶたの上から目を触ってみることです。目の玉の硬さ(眼圧)が右も左も同じぐらいなら緑内障発作は否定的です。逆に充血している眼だけがカチカチ(スーパーボールみたいな硬さ)になっていれば、眼圧が60mmHg以上の可能性が高いです。緑内障発作状態で放置すると失明に至ってしまうので、こちらも疑わしい時はお近くの眼科をすぐに受診ください。こちらも早期に手術をすれば治すことが可能です。
3.網膜中心動脈閉塞症
主に70歳以上の高血圧や動脈硬化が強い方・不整脈を持っている方に起こることが多いです。 小さな血の塊(血栓)が、眼の動脈に詰まって、真ん中が見えなくなる病気です。私は眼科医になって22年目ですが、いまだに有効な治療はありません。一応、急性期・発症から8時間以内のゴールデンタイムに血栓溶解やプロスタグランジン製剤を投与することもありますが、それでよくなった経験はほとんどありません。
4.加齢黄斑変性症
主に50歳以上の方で起こることがあります。私の母校、兵庫医大眼科の教授・五味先生の専門分野の1つでもあります。脈絡膜という網膜の下の栄養血管が豊富な場所から、網膜に脈絡膜新生血管という悪い血管が生えてきて、出血したりかさぶたを作ったりする病気です。程度が軽い場合には歪み・歪視という自覚症状がでてきますが、新生血管が破裂して網膜下出血になると急激な視力低下をきたします。程度の軽い段階で、抗VEGF剤の硝子体内注射をしておくことが、さらに悪くなる、急激な視力低下を防ぐ唯一の手段です。網膜下出血という状態になると、なかなか視力予後は悪くなります。手術することは可能ですが、白内障の手術のような劇的な視力改善は得られないかもしれません。ただし、治療しなければ、そのまま悪いままです。積極的な治療をするかどうかも含めて、お近くの眼科の先生とよく相談ください。
5.中心性漿液性網脈絡膜症
主に30~50歳の男性によく起こります。加齢黄斑変性症と同様に、兵庫医大眼科の教授・五味先生の専門分野の1つでもあります。ストレスによって、黄斑に水ぶくれができ、急激な視力低下や歪視を来たします。2-3か月で勝手に治ることもありますが、治らない時や治療が簡単にできる場合(水ぶくれの場所が黄斑から離れている場合)はレーザー治療や光線力学療法を行います。比較的視力予後の良い疾患です。サラリーマンの方で、多忙を極め、急に片目だけおかしいときはこの病気を疑ってください。
6.ぶどう膜炎
子ども~大人まで、どの年齢でも起こり得ます。目の玉の炎症で、炎症が特に目の前のほうに強くでる急性前部虹彩炎(AAU)や眼の奥に水ぶくれが多発する原田病は急激な視力低下をきたします。ステロイドの点眼や注射・内服・点滴などで治せますが、治療方針を決めるうえでもしっかりと診てもらってください。
7.視神経炎
こちらも子供~大人までどの年齢でも起こり得ます。視神経の炎症で、中心暗転(まんなかが見えなくなる)ことが多いです。視神経に病気があるときは、たいてい対光反応(猫のひとみが大きくなったり小さくなったりしますよね)の異常があります。視神経炎は確定診断にはMRIなどの画像検査や治療についても、ステロイドの点滴加療が必要になることが多いので、入院施設のある病院の眼科に送ることが多いと思います。
本日は代表的な視力低下をきたす疾患についてまとめてみました。
すこしでもおかしいな?という時は最寄りの眼科にご相談ください。
病気は、眼科にかかわらず、早期発見早期治療がいい結果につながります。
院長 石川裕人
大阪市「今福鶴見」にある眼科・皮フ科
みらい眼科皮フ科クリニック
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